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第3図 平成3年台風第19号による被害発生概況図(警視庁資料による)

多くの気象官署で強風の記録を更新した。
この台風による被害状況を、第3図に示す。
九州地方から東北地方の広い範囲で強風による大きな被害があった。六〇名を超える犠牲者のうちの大部分は、飛来物に当たるなどして死亡したものである。住家の全半壊も多く、その他、交通機関の運休、強風による断線や塩害による停電、農作物の被害が大きかった。北陸地方の富山県小矢部町ではフェーン現象が起こり、乾燥・強風下で火災が発生した。
この台風は、接近・上陸したときの最低海面気圧が九四〇hPaと低かったほか、強風による「吹き寄せ効果」も加わって中国地方、四国地方、近畿地方では満潮時の潮位が通常より一m以上も高い、いわゆる高潮が発生した。広島県や愛媛県の広い範囲で海水の浸水被害があった。
三 防災気象情報
台風や低気圧、前線などを原因とする気象災害は、突然何の前触れもなく発生するものではなく、現象の程度が次第に強まり、ある限界を超えたときに発生することが多い。この場合、前もって防災対策を執ることが可能である。災害をもたらす気象状況の予測、及び監視の成果を、直接、防災機関に伝えるとともに、ラジオ・テレビなどを通して住民の具体的な防災対策に利用するために発表するのが、警報・注意報・情報などの防災気象情報である。
(一)気象の予報・監視と災害対策
台風や低気圧などの明日、明後日の進路・発達の程度は、最近の大型コンピューターを用いた数値予報の進歩により、高い精度で予想できるようになった。一方、災害を起こすような局地的な豪雨は、それが起こる正確な位置や時間、現象の規模を一日前から予測することは、現在の数値予報では扱うスケールの関係で未だ不可能である。ただし、雨については、アメダスやレーダーを整備して監視することにより、数時間先までの予測を行うことが可能となってきている。
これに対し、竜巻など局地的な突風については、発生の可能性の大小はわかっても、発生位置や時刻を前もって予測することは、現在の予報技術や監視体制からは不可能である。
防災気象情報は、災害を起こすような気象を予想した場合、それについて予告をするために発表するものであり、具体的な個々の被害を予測していない。したがって、情報の受け手である防災機関や住民は、情報などの種類や特徴を知り、予想されている状況、及び起こりうる具体的な被害との関連を正しく認識していることが必要である。
(二)防災気象情報の種類
防災気象情報は、「いつ」、「どこで」、「何がどの位」起こるかの情報が次の項目から構成される。
?@現在の大気はどんな状況か(実況)
?A今後どのように変化すると予想されるか(予想)
?Bそれによって起こりうる災害は何か。(防災上の注意事項)
防災気象情報の種類は、警報〈暴風、大雨、

 

 

 

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